見過ごされがちな「配管からの熱」、それが現場を弱らせる
2025.7.28

軽視されがちな「熱」の問題
配管工事業者にとって、配管とは単なる流体の通路ではなく、建物・設備・装置全体の生命線を構成する重要な部位です。近年は省エネ意識の高まりや機器の高密度化により、配管に求められる性能も高度化していますが、実はその中でしばしば軽視されがちなのが「熱」の問題です。冷却水、温水、蒸気、油圧、空調用の配管など、多くの配管は高温または低温の流体を搬送しており、放熱や断熱を適切に管理できなければ、熱ロス、エネルギーの無駄、機器故障の誘因となることもあります。つまり、配管の“熱設計”を見直すことは、施工の質を高めるうえで避けて通れない課題なのです。
現場で発生する放熱トラブルと、従来対策の限界
実際の配管工事現場では、「保温材を巻いておけばよい」「周囲に空間があれば自然に放熱される」といった発想が根強く残っています。しかしながら、工場内の高密度配管区域や装置内部の限られたスペースでは、熱が逃げきれずに蓄積し、周囲温度を上げてしまうことが多発しています。放熱不足により冷却効率が下がれば、空調負荷の増加、配管の膨張による応力、さらには火傷リスクといった安全性の問題にもつながります。このような現場のトラブルは、冷却設備の増設では解決できず、根本的には「配管から熱を逃がす」ための設計と工夫が必要です。
最上インクス製フィン3種で“熱の通り道”を作る
この放熱課題に対して有効なのが、最上インクスが開発した3種類の放熱フィン製品です。
ひとつ目は、「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」。既設配管の外周に巻き付けることで表面積を拡大し、自然対流や空冷ファンとの併用で効率的に熱を逃がすことが可能です。工具不要で設置でき、施工性にも優れています。
ふたつ目は、「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」。管内にフィン構造を挿入することで、流体と管の接触面積を増やし、加熱・冷却効率を飛躍的に高める技術です。チラーやスチーム配管など、立ち上がり応答性が重要なラインに最適です。
そして、「その他 用途 各種フィン」は、太径配管や高温部位での使用に適しており、放熱と構造保護を同時に実現する重厚設計。屋外設備や高圧ラインなど、過酷な環境でも性能を発揮します。
実装によるメリット ― 省エネ・安全性・提案力の向上
配管工事現場にフィン製品を導入した事例では、冷却水ラインの配管表面温度が低下し、冷却設備の稼働負荷が減少。その結果、月間の電力消費量が削減されました。また、温水配管に巻き付けフィンを施工した別の現場では、周囲温度が抑えられ、作業員の安全性と快適性が向上。さらに、配管パイプ内側フィンを加熱ラインに採用したことで、必要な温度への立ち上がり時間が短縮され、熱ロスが減り生産効率も改善しました。これらの成果は、省エネや省メンテナンスの面でユーザーに喜ばれるだけでなく、工事業者としての「提案力」「付加価値創出力」の向上にも直結します。
配管に“もうひと手間”を加える、それがプロの証明に
配管工事におけるプロフェッショナリズムとは、単に図面通りに施工することではなく、「その配管が現場でどう機能するか」までを見通す力にあります。最上インクス製の放熱フィンは、設計変更不要・後付け対応可能という特長を活かし、完成後の配管に“もうひと手間”で性能を与える手段となります。熱による課題が増える今、こうした柔軟な対策を備えている工事業者こそが、選ばれる存在になっていくのです。配管工事における省エネ・省スペース・高効率化の実現は、施工品質を超えた“熱設計提案”という次のステージへ。今後の現場に、ぜひこのアプローチを加えてみてください。