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薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

第5回:「ルーバフィンの微細化」と熱交換器の高性能、小型/軽量化のご紹介

2022.1.06

元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)

今回のコラムは『ルーバフィンの微細化と熱交換器の高性能、小型/軽量化』についてお話させていただきます。

平板フィン上を空気等の流体が流れる時、その平板フィンの上に速度境界層というものが発生します。平板フィンと流体が接するところは速度ゼロですが、平板フィンから離れるにつれて流体の速度が増していき、その結果流体の主流速度に至ります。速度分布は放物線状になり、これを速度境界層とよびます。

同様に流体温度も平板フィンに接するところは流体と同じ温度ですが、平板フィンから離れるに従って流体の主流温度に変化します。この層を温度境界層とよびます。

この温度境界層は平板フィンから流体への熱移動を阻害する抵抗となり、熱交換器のフィンで考えた場合、なるべくその境界層を薄くすることが性能面では効果的となります。

境界層を薄くする主な方法を以下の通りご紹介いたします。

1)突起をつけて流体をかく乱し、境界層を破壊する
2)平板フィンに超音波振動を加えて境界層を破壊する
3)平板フィンの先端効果を利用する

いろいろと考えられますが最も一般的に行われている方法は、3)平板フィンの先端効果を利用する方法です。理由として境界層は平板フィンの先端から発達しますので、その先端だけを切り取って繰り返せば、温度境界層は薄いままの状態を保つことが出来るようになります。 この原理を応用したのがルーバフィンで、微細化が進めば性能も向上します。

続いて図解を用いて小型/軽量化に影響するルーバピッチとフィンピッチの関係性をご紹介させていただきます。

図1は比較的ルーバの大きいフィンの配列です。図1の伝熱性能を上げるためにルーバを細かくした場合、図2のように同じフィンピッチではルーバに沿った流れとならずに素通りしてしまうため、伝熱性能は上がりません。図3のようにフィンピッチを詰めていくと、ルーバに沿う最適な流れとなり伝熱性能も上がります。このようにルーバピッチとフィンピッチには、伝熱性能を向上させる最適な関係性が存在します。

過去には、流れの可視化による最適解を求めていましたが、近年は数値解析によるシミュレーションが威力を発揮しています。その結果図4に示すようなルーバピッチとフィンピッチの最適解を得ることが出来、図5のように集積度向上、および厚さの縮小が可能になり、熱交換器の小型/軽量化を実現出来るようになりました。

次回は主にフィン加工技術などの観点で高性能、小型/軽量化についてお話させていただきます。

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