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薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

第13回:電気自動車の空調方式と課題について

2022.5.16

元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)

今回は電気自動車の空調方式と課題についてお話させていただきます。

図で示した冷凍サイクルの通り、エバポレータで冷媒と熱交換した空気は冷風となり、夏場の空調に使われます。ただし、乗員の好みの温度にするためには、ヒータコアで作られる温風とミックスする必要があります。ヒータコアに入る温水はラジエータの冷却水です。

近年ハイブリッド車が普及し、この暖房熱源が不足し始めました。エンジンを間欠式に運転するため、エンジンからの発熱が減ったことが原因です。とくに冬場は暖房が不足するために、電気ヒーター(PTCヒータ)などで補足する方法も実用化されています。

完全な電気自動車に代わると、この問題はより顕著になります。すなわちエンジンが有りませんから、エンジンの冷却水を暖房熱源に使うことができません。当初の電気自動車の暖房は完全に電気ヒーターで賄われましたが、電気の消費が大きいため、バッテリーの一充電走行距離を大幅に短縮することになり問題化しました。

そこでヒートポンプ式エアコンが検討され始めました。ヒートポンプは図の冷凍サイクルのコンデンサの放熱側を使って、空気を加熱して暖房する方式です。この場合、エバポレータにより空気から奪った熱とコンプレッサで圧縮した仕事分がコンデンサの放熱量になりますから、入力に対しておおよそ2~3倍の熱量を生み出すことができ、大変効率的です。電気ヒーターでは入力電気量とほぼ同じ熱量しか生み出せません。

ただ、カーエアコンでヒートポンプを使う場合はガラスの防曇のために除湿暖房という機能が必要であり、ルームエアコンに比べ構造が複雑になることや、寒冷地のマイナス20℃以下ではヒートポンプが働かなくなるなどの問題を解決しなければなりません。また、コストも問題でしょう。

次回は電気自動車の熱マネジメントについてお話させていただきます。

冷凍サイクルの原理
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