工場におけるコンプレッサー設備と放熱の盲点
2025.6.05

放熱の不備がトラブルの原因に
多くの製造現場で使用されているコンプレッサー設備は、圧縮空気の安定供給という役割の一方で、大量の熱を発生させる特性があります。圧縮プロセス自体が高温となるため、冷却が不十分だと圧縮効率の低下、潤滑油の劣化、機器寿命の短縮といったトラブルに直結します。こうした熱管理の焦点は主にコンプレッサー本体に向けられがちですが、実はその周辺機器や冷却水・潤滑油の循環配管でも、放熱の不備がトラブルの原因になることが少なくありません。高温のまま配管内を流れる流体は、設備全体の熱負荷を高め、異常停止や品質トラブルの引き金になります。
現場における従来の冷却対策とその限界
従来、コンプレッサー周辺の放熱対策としては、チラーの設置や冷却水の強制循環、断熱材の被覆などが一般的でした。しかし、これらの手法は設備導入時に計画されたものであり、稼働後の追加対策が難しいという問題があります。また、配管自体の放熱設計が軽視されているケースが多く、配管表面からの熱放散不足により、「装置が高温になり警報が出る」「夏場に冷却が追いつかない」「作業員が火傷しそうになる」といった現場の声もよく聞かれます。特に老朽化した工場では、既存設備を止めずに簡単に導入できる放熱ソリューションが強く求められています。
巻き付け型フォールディングフィンによる新たな放熱アプローチ
そうした現場のニーズに応えるのが、配管巻き付け型の「フォールディングフィン」です。これは、金属製の放熱フィンを配管の外周に巻き付けて使用する構造で、既設配管の表面積を拡大し、自然対流や空冷による放熱効果を飛躍的に高めることができます。工具不要で取り付けが可能なうえ、施工時に配管を停止する必要がないため、ライン稼働中のまま改良できるという点が大きなメリットです。最上インクスが提供するこのフォールディングフィンは、コンプレッサーの冷却水配管や油戻り配管に適用することで、周辺温度の低下と装置全体の安定稼働を実現します。
導入効果と現場での評価
導入事例では、フォールディングフィンの設置により配管外周温度が低下し、冷却ユニットの負荷が軽減された結果、コンプレッサーの運転安定性が向上したという報告があります。特に夏場や高負荷時の稼働でも、冷却能力が追いつくようになり、エア供給の安定化・機器保護・電力使用量の削減といった副次効果も見込まれています。また、放熱改善によって装置警報の頻度が減少し、現場作業員の安全性も向上しました。設置コストや施工時間が少ないことから、他のラインにも順次拡張導入する計画が進められている企業もあります。
コンプレッサー周辺の放熱最適化が生産性を左右する時代へ
コンプレッサーは工場全体の“心臓部”ともいえる存在であり、その安定稼働はすべての製造工程の基盤です。にもかかわらず、配管の放熱設計は後回しにされがちで、その結果として冷却不足や装置の非効率が発生しています。フォールディングフィンは、そうした見落とされがちな熱の通り道にアプローチする画期的なソリューションです。今後の工場設備の改良においては、「コストを抑えつつ確実に効果が出る」「止めずに施工できる」「誰でも扱える」ことが重要です。配管の放熱に課題を抱える工場様は、ぜひこの新しい技術の導入を検討されてはいかがでしょうか。