廃熱は“無駄な熱”ではない ― 配管からのエネルギー再活用の重要性
2025.6.12

「排熱の再利用」は注目されるテーマの一つ
製造業における省エネルギー対策が年々求められる中、「排熱の再利用」は注目されるテーマの一つです。多くの工場では、加熱・冷却工程に多量の熱エネルギーを消費し、プロセス終了後にそのまま大気へ放散しています。特に、配管を流れる温水・蒸気・ガス等から発生する排熱は、熱源としてのポテンシャルを持ちながらも、見過ごされがちな存在です。これらを適切に回収・再利用できれば、燃料コスト削減・CO₂排出量削減に寄与し、カーボンニュートラルにも大きく貢献します。
現場で排熱回収が進まない理由とは
理論的には配管からの排熱を回収して再利用することは有効ですが、現場では「熱交換器を追加するスペースがない」「施工に時間とコストがかかる」「既設ラインへの後付けが難しい」など、実装面のハードルが高く、取り組みが進みにくいのが実情です。また、回収できる熱量が小さいとされ、投資対効果が見込めないと判断されるケースもあります。こうした課題を前に、多くの事業者は“排熱は仕方ないもの”として放置してしまい、本来得られるはずの再利用エネルギーを見逃しているのです。
フォールディングフィンによる低コスト・高効率の排熱拡散回収
この状況を打開する一手として提案したいのが、最上インクス製「フォールディングフィン」を用いた排熱回収システムです。フォールディングフィンは、既存の配管に工具不要で巻き付けるだけで取り付け可能な金属製フィンです。放熱面積を大幅に拡大し、配管からの熱放散効率を向上させることで、空気や別配管を介した排熱の再利用が現実的になります。例えば、フィン周辺に空冷ファンを組み合わせることで、熱風を暖房エリアや乾燥機など別の用途に転用する仕組みが構築可能です。
排熱回収の応用例と導入効果
ある食品加工工場では、蒸気配管にフォールディングフィンを設置し、放散される熱を倉庫内の空気予熱に利用したところ、冬季の暖房エネルギーを削減することに成功しました。また、他の製造ラインでは、フィンによって拡散された熱を乾燥工程の予熱として再利用し、ガス消費量の年間削減目標を実現しています。いずれのケースでも、既設設備に大きな変更を加えることなく、短期間・低コストで排熱回収が実現できた点が導入の決め手となりました。
“冷やす”から“活かす”へ。熱エネルギー戦略の再構築
これからの工場運営において、排熱を「捨てるもの」から「活かすもの」へと転換する発想が不可欠です。フォールディングフィンのように、簡単・後付け可能で放熱効率が高い構造体は、工場設備のエネルギー循環設計において新たな選択肢を提供します。単に温度を下げるのではなく、熱を“制御し、再活用する”という視点で、工場配管に目を向けてみてはいかがでしょうか。省エネ・CO₂削減・設備保全の観点からも、フォールディングフィンを活用した排熱回収は、今後の工場改革の有力な一手となるはずです。