熱制御が製品品質を左右するゴム製造現場の現実
2025.7.24

温度管理が直接的に製品の性能・寸法・強度に影響
タイヤ、ホース、ベルト、パッキンなど、多様な用途で用いられるゴム製品。その製造工程においては、「加熱して形を整え、冷却して性質を固定する」プロセスが不可欠です。特に加硫・押出・成形・冷却という各ステップでは、温度管理が直接的に製品の性能・寸法・強度に影響を与えます。たとえば加硫工程では温度が足りないと未加硫になり、逆に温度過多では硬化不良を引き起こします。このように、熱のムラや伝達効率の低下が不良品を生む原因となる中、配管を含む設備全体の熱マネジメントの重要性が高まっています。
放熱の盲点 ― 配管の熱管理が軽視されている現場課題
ゴム工場では、スチームや温水・冷却水を循環させて加熱・冷却を制御していますが、これらの流体が通る配管の外周や内部の熱管理が十分に設計されていないことが多く見受けられます。たとえば、冷却ラインの配管が十分に熱を放散できず、冷却効果が弱く製品の硬度が安定しない、また加熱用配管の外周温度が上がりすぎて作業環境が悪化するといった課題が報告されています。これは、配管が単なる流体通路と認識され、放熱や伝熱といった側面が設計段階で軽視されてきた結果といえます。現場では冷却装置を強化しても効果が出ないことがあり、配管自体の見直しが必要とされています。
外からも中からも冷やす、最上インクスの3種フィン技術
こうした課題に対応するのが、最上インクスが展開する3種類のフィン製品です。
まず、「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」は、既設配管の外周に巻き付けることで、放熱面積を拡大し、自然対流や空冷ファンと連携して温度を下げる構造です。工具不要で施工可能なため、稼働中のラインにも対応できます。
次に、「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」は、管内の流体と直接接触して伝熱効率を高め、冷却・加熱効率を飛躍的に改善する製品です。サイクルタイム短縮や加硫反応の安定化に寄与します。
さらに、「その他 用途 各種フィン」は、太径配管や加熱部周辺で使用され、構造補強と放熱を同時に実現できる多機能タイプです。いずれも、既存設備への後付けが可能で、設計変更を必要とせず効果的な放熱対策が可能です。
実装による成果 ― 品質、エネルギー、保全性の三拍子
実際に、あるゴムホース製造工場では、加硫ラインの戻り冷却水配管に巻き付けフィンを導入した結果、配管表面温度が低下し、冷却ユニットの消費電力を%削減。さらに、製品の硬度ばらつきが改善され、不良率が半減しました。また、配管内側フィンを導入した加熱ラインでは、熱の立ち上がりが早まり、サイクルタイムを短縮。スタンダードフィンを押出ラインの加熱部周辺に導入した例では、作業エリアの温度が抑えられ、夏場の作業環境が大幅に改善されました。これらはすべて、省エネ・品質安定・保全性向上を同時に達成する好例といえます。
熱マネジメントは現場の利益を生む「第4の改善領域」
ゴム製造の現場では、「材料」「設備」「作業」に次ぐ“第4の改善領域”として、「熱の見直し」が今注目されています。最上インクスの3種のフィン製品は、手軽に導入できる“後付けの放熱対策”として、限られたリソースの中で最大の改善効果を引き出します。特に、省エネと品質を両立したい工場や、老朽設備を延命しながら性能を維持したい現場において、有効な選択肢となるでしょう。これからのゴム製造現場では、「配管に何を加えるか」が、生産性と利益の差を生む一手となるのです。