薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

熱交換器の性能を左右する「周辺放熱」の最適化

2025.8.04

熱交換器の周辺放熱対策に放熱フィンが効果的。配管部の熱管理を最適化することで熱効率と装置寿命を維持。

想定外の熱ロスや熱だまり

熱交換器は、空気・水・蒸気・オイルなどの異なる媒体間で効率よく熱をやり取りするための中核装置であり、空調設備、プラント、発電、食品、医薬など多様な分野で利用されています。近年は装置の高効率化や小型化が進む一方、実運用下では想定外の熱ロスや熱だまりによって性能が発揮できないケースが報告されています。特に注目されているのが、熱交換器本体だけでなく、それに接続された配管・周辺部の放熱性能です。流体を送るラインの熱設計が不十分だと、せっかくの高性能熱交換器も本来の能力を発揮できず、熱効率の低下やエネルギー損失、装置寿命の短縮を招いてしまいます。

本体性能だけではカバーできない配管の放熱課題

熱交換器と周辺配管は一体で考えるべきですが、実際の設計・施工現場では、装置本体に注目が集中する一方で、配管の放熱性能は軽視される傾向にあります。高温流体が通る配管の表面が過熱状態になり、空調機器やセンサーに熱影響を与える。冷却媒体が通る配管がうまく熱を逃がせず、冷却効果が低下して熱交換器の出口温度が安定しない――こうした現象は、放熱不足によるエネルギーの無駄といえます。また、設備が高密度化する中で、断熱材を増やすことも困難であり、限られたスペースの中で、いかに効率的に熱を制御するかが設計上の新たな課題となっています。

内外からの放熱強化を可能にする3種のフィン技術

このような放熱課題に対し、最上インクスでは3種のフィン製品を通じて、配管や接続部の熱対策をサポートしています。
まず、「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」は、既存の配管に工具不要で取り付け可能な金属フィンで、外周からの放熱面積を拡大し、自然対流や空冷による放熱効果を高めます。配管の過熱を防ぎ、周囲環境の温度安定化にも貢献します。
次に、「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」は、管内の流体と接触しながら熱伝導性能を向上させる内蔵型のフィンです。冷却・加熱応答が速くなり、熱交換器全体の効率改善に直結します。
さらに、「その他 用途 各種フィン」は、高負荷の熱交換システムや大型機器周辺で使える高耐久仕様で、筐体や配管の放熱と保護を同時に実現する多機能製品です。

実装事例で見る、熱効率と省エネ効果

ある化学プラントでは、熱交換器出口の配管に巻き付け型フィンを導入した結果、表面温度が20〜25℃低下し、周辺機器の誤作動が解消。冷却ファンの稼働頻度が減少し、年間で約10%の電力削減につながりました。別の食品工場では、冷水管に内側フィンを挿入することで、熱交換器の出口温度が安定し、冷却時間が短縮されて生産ラインの稼働効率が向上。また、スタンダードフォールディングフィンを排熱配管に設置した事例では、放熱量の増加により空調負荷が軽減し、作業環境が改善されました。これらの導入はすべて、装置の交換を伴わず、後付けで性能を高めるシンプルな対策として現場で高評価を得ています。

熱交換器の実力を引き出す“配管の熱設計”という視点

熱交換器の真価は、本体性能だけでは語れません。接続配管や装置周辺の放熱対策が適切に行われてこそ、安定した熱交換・省エネルギー・安全稼働が実現されます。最上インクスの各種フィン製品は、配管内外の熱制御を“追加装置なし・設計変更なし”で実現できる実用的なソリューションです。今後の熱交換器設計・改修・保守計画においては、「配管の熱設計」を新たな検討項目に加えることで、装置全体の熱効率とエネルギー性能を最大限に引き出すことが可能になります。“配管から始める熱改善”が、次世代の熱交換システム構築の鍵となるのです。

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