ガス供給設備における「熱の管理」が求められる理由
2025.8.21

誤作動やシール劣化、爆発性のリスクが増大
ガスは、燃料・化学反応剤・冷媒・絶縁材など、多岐にわたる産業用途で活用されているエネルギー・原料媒体です。都市ガスやLPGはもちろん、酸素・窒素・水素などの高圧ガス、さらには半導体製造に使われる超高純度ガスに至るまで、その供給設備には高度な温度制御と安全性が求められます。特に、ガスの流量や圧力が安定していても、配管やバルブの表面温度が想定を超えると、機器の誤作動やシール劣化、爆発性のリスクが増大します。また、冷却や加温を伴うガス供給ラインでは、温度ムラが製品品質に直接影響することもあり、いま、ガス配管システムにおける「熱の見直し」が急務となっています。
見逃されがちな放熱の盲点 ― 配管外周と内部の“熱だまり”
ガス設備の設計において、バルブやレギュレータの性能に目が行きがちですが、実はその前後の配管が熱問題のボトルネックになっているケースが多く見られます。例えば、屋外設置されたガス配管が夏場に過熱し、内部ガス圧が不安定になったり、逆に冷却系統の配管が冬季に過冷却を起こし、減圧器やセンサーが誤作動したりする事例もあります。また、冷媒ガスの配管では、外気との温度差によって結露が発生し、腐食や漏電のリスクが高まることも。こうした現象の多くは、「配管が熱を逃がせていない/伝えきれていない」ことに起因しており、単に断熱や冷却を強化するだけでは根本的な解決に至りません。
最上インクスの3つのフィンで“熱の流れ”を整える
このような課題に対し、最上インクスは3種類のフィン製品を活用した柔軟な熱対策ソリューションを提案しています。
まず、「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」は、既設のガス配管に外部から巻き付けるだけで、放熱面積を増やして自然放熱を促進。高温化を抑えるとともに、作業者の安全確保にも寄与します。
次に、「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」は、管内を流れるガスや冷却媒体との接触効率を向上させ、伝熱性能を強化。温度応答性が求められるガス加温・冷却用途で特に効果を発揮します。
さらに、「その他 用途 各種フィン」は、大口径配管や屋外設備に最適で、放熱と構造補強の両立が可能。過酷環境下でも高耐久で、設備の保全性を高めます。いずれも後付け可能で、省スペースかつ高効果な点が特長です。
現場での導入効果 ― 安全性とエネルギー効率の向上
ある都市ガス供給会社では、減圧装置の出口側配管に巻き付けフィンを導入したことで、配管表面温度を15℃低下させ、作業者の火傷リスクを低減するとともに、熱によるシール劣化の発生頻度が半減しました。また、液化ガス供給ラインに内側フィンを挿入した工場では、気化熱処理の効率が向上し、冷却ガス使用量が年間12%削減されました。スタンダードフィンを導入したエネルギープラントでは、屋外設置の配管表面温度が安定し、周囲機器の耐熱劣化を防止できたとの報告もあります。これらの成果は、放熱性の向上が安全性とエネルギー効率に直結することを明確に示しています。
ガス設備の信頼性を高める“放熱設計”という視点
ガス供給システムの安全性・安定性・効率性を確保するうえで、今後は熱をどのように逃がし、どこに伝えるかという視点が欠かせません。最上インクスの3種のフィン技術は、設計段階からの熱最適化だけでなく、既存設備の改良・保全にも柔軟に対応できる省エネ・高信頼性の熱対策ツールです。ガス設備に関わるすべての技術者にとって、これらの手法を取り入れることは、事故リスクの低減・運転コストの削減・装置寿命の延伸につながります。今こそ、「流体制御+熱設計」を一体で考える“次世代ガス設備”への転換が求められているのです。