高出力化が進む建設機器と“熱”の見えない課題
2025.10.30

見落とされがちな配管周辺からの放熱対策
近年の建設機器は、大型化・高出力化が進み、エンジン・油圧系・電子制御系といった各構成要素が複雑化しています。バックホー、ブルドーザー、ホイールローダー、クレーン車などの主要機種では、高トルク・高精度動作を実現する一方で、内部に発生する熱量が飛躍的に増加しています。エンジン冷却、油圧作動油の温度管理、排気系の断熱処理など、熱対策は既に設計上の常識となっていますが、見落とされがちなのが配管周辺からの放熱対策です。配管に発生する“熱のたまり”や“過剰放熱”は、燃費低下や部品劣化の温床であり、機器の省エネ性能・寿命・安全性に大きな影響を与えています。
過酷な使用環境で露呈する放熱の非効率
建設現場は、砂塵、直射日光、泥、低温高温といった過酷な環境条件のもとで長時間機器が稼働します。とくに油圧系や冷却水の配管まわりは、外気温や運転負荷によって極端な温度差が生じやすく、熱がこもる箇所ではゴムシールの劣化やオイルの粘度変化、過熱による異常圧力の発生など、さまざまなトラブルが報告されています。こうした配管単位の熱対策として注目されているのが、パイプ・配管 外側巻き付けフィンやパイプ・配管・流路 内側挿入フィンです。これらは、熱伝達面積を増やすことで自然放熱や強制空冷の効率を向上させ、局所的な温度上昇を抑える実践的な技術です。
スタンダードフォールディングフィンがもたらす実用的効果
最上インクスの「スタンダードフォールディングフィン」は、耐熱性の高い金属フィンを蛇腹構造に加工し、配管の外周に巻き付けることで、コンパクトながら優れた放熱性能を発揮します。エンジンとラジエーターの接続部、油圧ポンプ周辺、ブレーキ系統の冷却ラインなど、建設機器の熱負荷が集中する箇所に設置すれば、放熱性が飛躍的に改善され、冷却装置の負担も軽減されます。さらに、既設配管への後付けが容易で、整備性を損なわずに導入できる点も大きなメリットです。建機メーカーや保守業者からは、部品交換周期の延長、オイル劣化の遅延など、メンテナンス性の向上にも寄与するとの評価を得ています。
放熱制御による省エネと環境対応の相乗効果
放熱効率を高めることで、冷却ファンや油圧ポンプの稼働を減らすことができ、結果的に燃料消費量が低減されます。これは単なるコストダウンにとどまらず、排ガスの削減・エンジン負荷の低下・騒音抑制など多面的な効果を生み出します。とくに近年は、建設機器においてもCO₂削減やカーボンニュートラル対応が求められており、こうした熱対策はSDGsやESG経営にも資する重要な施策となります。また、部品の熱劣化が抑えられることで、廃棄物の削減や保守資源の節約にもつながり、現場単位の環境負荷低減にも貢献します。
建機の信頼性を支える“配管単位”の熱設計
建設機器の安定稼働と長寿命化は、過酷な現場でのトラブルを未然に防ぎ、施工の信頼性を確保する鍵となります。パイプ・配管 外側巻き付けフィン、パイプ・配管・流路 内側挿入フィン、スタンダードフォールディングフィンは、設備全体の設計に手を加えることなく、熱流を制御する“後付けの熱対策”として導入できる柔軟性と即効性を持っています。建機1台ごとの微細な熱効率改善が、全体の燃費改善、安全性向上、環境性能向上へと波及していきます。これからの建設機器市場においては、目に見えない“熱”こそが、製品競争力と現場信頼性の分水嶺となるでしょう。
