熱が小麦粉の性質を変える──製粉現場の見えない課題
2025.12.18

最終製品の品質に直結する“見えないリスク”
製粉工程では、原料の小麦を破砕・篩過し、品質を一定に保ったまま高効率で製粉するために、数多くの機械や配管が稼働しています。これらの設備は24時間稼働が基本であり、エア輸送装置、混合機、サイロ、搬送配管などを通じて大量の粉体を循環させています。その中で課題となるのが、「配管内部や周辺に発生する熱の管理」です。粉体は熱に敏感であり、配管を通る際に摩擦や圧縮空気の影響で温度が上昇しやすい一方、冷却装置が不足していたり、逆に過剰に放熱されてしまうことで、水分蒸散やデンプンの劣化、製品の吸湿性変化といった問題が発生します。放熱制御の不備は、最終製品の品質に直結する“見えないリスク”です。
配管からの放熱ロスが招く品質ばらつきとエネルギー浪費
特に空気輸送型の製粉ラインでは、高速で粉体を搬送する配管が長距離にわたって伸びています。この配管が過剰に熱を逃がすと、途中で水分が失われ、粉の流動性やふるい通過性が不安定になる場合があります。一方、熱が滞留すれば粉体が詰まりやすくなり、清掃頻度の増加や機器の焼き付きトラブルを引き起こすリスクも高まります。これに対応するため、従来は冷却ファンや断熱材を用いていましたが、コスト・スペース・保守の面で課題が多いのが実情です。そこで注目されているのが、パイプ・配管 外側巻き付けフィンやパイプ・配管・流路 内側挿入フィンといった、熱の流れを局所的かつ効率的にコントロールする放熱ソリューションです。
スタンダードフォールディングフィンがもたらす効果的な熱対策
最上インクスの「スタンダードフォールディングフィン」は、耐熱・耐食性に優れた金属フィンを蛇腹状に加工し、配管の外周に巻き付けて装着することで、自然対流や空冷による放熱効果を高める製品です。製粉設備においては、集塵機と混合機をつなぐ搬送配管や、加圧搬送用エアパイプ、サイロへの投入ラインなど、熱が滞留しやすい箇所への導入が特に効果的です。また、後付け設置が可能なため、既存設備の稼働を止めることなく、低コストかつ短時間で熱制御機能を強化できます。施工性に優れ、ステンレス製やアルミ製のラインナップもあり、食品製造の衛生要求にも対応しています。
放熱最適化による省エネ効果と環境負荷の軽減
熱管理を配管単位で適切に行うことで、粉体輸送装置の冷却ファンやコンプレッサーの稼働時間が短縮され、年間を通じた電力使用量の削減が可能となります。また、装置の稼働温度が安定することでメンテナンス回数が減り、交換部品や清掃作業の負担が軽減されるなど、間接的なコストダウンにもつながります。さらに、放熱対策により設備の効率が高まれば、CO₂排出量の削減、産業廃棄物の発生抑制といった環境面でのメリットも生まれます。これらの効果は、ESG経営・食品ロス削減・SDGs対応など、製粉業界に求められる社会的責任にも応える重要なポイントとなります。
粉の品質は、配管の“熱の質”で決まる
粉体製品は、目に見えない変化が品質に大きく影響するセンシティブな素材です。製品の歩留まり、外観、流動性、焼成特性まで、すべてが温度と湿度のバランスの上に成り立っています。パイプ・配管 外側巻き付けフィン、パイプ・配管・流路 内側挿入フィン、スタンダードフォールディングフィンといった部材は、そうしたバランスを守るために、配管単位で熱を制御する「見えない品質保証装置」ともいえる存在です。製粉工場のスマート化、省エネ化、高品質化を目指す今、“配管の熱を整える”という視点こそが、製品ブランドの信頼性を守る新たな競争力となるのです。
