薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

第14回:電気自動車の熱マネジメント

2022.5.16

元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)

今回は電気自動車の熱マネジメントについてお話させていただきます。

地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減が大きな社会課題となる中で、ガソリンエンジン車から電気自動車への転換が急速に進むと予想され、各自動車メーカーはその開発を加速しています。

電気自動車では熱のマネジメントが重要な課題となります。

熱の問題と言えば、今までのエンジン車ではエンジンやエンジンオイルの冷却とエアコン用に空気を冷却することが主な目的でした。ところが、電気自動車ではまずエアコンの暖房熱源にエンジンの排熱が利用できなくなりました。それに加え、インバータや高出力モータやバッテリーなどの冷却と温度調節が大変重要になってきました。

これらを冷却するには空冷や冷媒冷却、水冷却など様々な手法が考えられまた試されてきましたが、最終的には水を使った冷却に絞られつつあります。この理由は、空冷では冷却能力が不足すること、冷媒冷却では被冷却体まで冷媒を運ぶ回路が複雑であること、水冷却ではおのおのの被冷却体から奪った熱を一か所に集めて暖房熱源として使えるというメリットがあるからです。

何故各種機器の冷却が必要かと言いますと、インバータの半導体回路はシリコンチップの耐熱温度や半田付けの限界も近い温度にあります。

モータージェネレータでは、モータの磁性体やコイルの被覆などの冷却が必要です。バッテリーは温度が高いと劣化が早まり、極低温では作動しません。よって0℃から40℃の間が適温とされています。また市街地に配置される急速充電ではさらにバッテリーの発熱に対する急速な冷却が必要になります。

次回はインバータのパワーカードの冷却システムについてさらに詳しくお話したいと思います。

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