薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

共同研究成果のご報告

2022.7.21

パイプ・配管外側巻き付けフォールディングフィンの接触熱抵抗について

今回は、既存設備・工場・プラントの配管に後付けで巻き付けて取り付け可能な伝熱フィンである、パイプ外側巻き付けフォールディングフィン(以下、OPFF、図1)取付時の接触熱抵抗について、三重大学廣田教授とおこなった共同研究成果より、一部抜粋して報告します。

<参考研究成果>
三重大学 廣田教授・他:「巻き付け型薄板金属フィンと配管間の熱抵抗に関する研究」、第55回空気調和・冷凍連合講演会(2022)

図1 OPFF

本共同研究では、銅円柱の中心にヒーターを挿入し、フィンを巻き付けて自然対流条件下での実験を行い、各ポイントを測定することで、フィンの効果、フィン固定方法による比較、熱伝導シートの効果などを評価しました。図2は実験装置の概念図を表しています。

図2 実験装置概念図

表1はフィンをすだれ金具(締付トルクによる違い)と板バネ金具で固定した時の接触熱抵抗値を示しています。左4点はすだれ金具固定での締付トルク違いの値、一番右の点は板バネ金具で固定した時の熱抵抗値です。実験結果からも、固定方法の違い、締付トルクの違いによる差が無い事が分かります。

表1 固定方法による接触熱抵抗

表2は熱伝導シートを挟んで取り付けた時の熱抵抗値を示しています。固定方法、熱伝導シートの種類に限らず、熱伝導シートの効果で熱抵抗が小さくなっていることが分かります。すだれ金具固定の方が、熱伝導シートを潰すことができるため、密着力が上昇し、板バネ金具固定よりも、熱抵抗が小さくなったと考えられます。

表2 熱伝導シート有りでの接触熱抵抗

表3は全熱抵抗の内訳を示しています。接触熱抵抗は熱伝導シートを使用する事で、10~15%減少しています。その結果、全熱抵抗における接触熱抵抗の影響は、熱伝導シート無しで約30%、熱伝導シート有りの場合で約10%となっています。また、熱伝導シート自体の熱抵抗については無視できるほど小さいことが分かります。

表3 全熱抵抗内訳

表4は強制対流環境での全熱抵抗の試算値を示しています。強制対流の場合、フィンからの対流熱伝達による熱抵抗値が自然対流時の約40%に減少していることが分かります。それに伴い、接触熱抵抗が全熱抵抗に及ぼす影響は熱伝導シート無しの場合で45%、熱伝導シートを使用した場合で25~30%という割合になっています。

表4 全熱抵抗内訳(強制対流環境)

これらの研究結果より、自然対流環境で熱伝導シートを使用しない場合、固定方法による性能への影響は無いので、室内環境、仮固定、振動や衝撃が少ない場合は板バネ金具で固定し、落下防止やねじ固定が必須の場合はすだれ金具で固定するという使い分けが可能であることが分かった。

熱伝導シートについては、自然対流放熱時で10~15%の性能向上にとどまるので、コストや必要性能のバランスをみながら、無理に使用しないという選択が可能であることが分かった。また、熱伝導シート自体の抵抗は無視できるぐらい小さいので、性能よりも、環境や取り付けやすさを重視することが良いと考えられる。

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