第18回:着霜を防ぐ表面の研究事例

2022.8.03

元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)

今回は着霜を防ぐ表面の研究事例についてお話させていただきます。

図1に示すのは、超撥水表面における凝縮水の状態を電子顕微鏡で観察した結果です。

水滴の大きさは、大きいもので100ミクロンです。通常、撥水表面に垂らした水は玉状になることは蓮の葉などでよく知られています。しかし、凝縮水は表面のミクロな凹凸の中から発生するため、図2のように根を生やしたように成長し、図1のような玉状になることは有りません。

超撥水膜では、結露して水滴が発生することは同じですが、1時間以上凍結することはありません。

原理は解明されていませんが、接触面積が小さい事が冷却凍結までの時間を稼いでいるのか、あるいは、発生する水滴の大きさが小さいほど凍結の発生確率が小さいとする説もあります。こうした超撥水膜をヒートポンプの室外熱交換器に適用できれば、1時間以上ヒートポンプを停止させずに運転でき、車の暖房と除湿が保たれることになります。

しかし現段階では長時間には耐えられませんので、まだまだ改良が必要です。

次回はバイオミメティックス(生物模倣)についてお話させていただきます。

超撥水表面における凝縮水の状態を電子顕微鏡で観察した結果
霜付のメカニズム
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