薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

精度とサイクルを左右する金型冷却の最適化

2025.8.07

金型冷却の放熱効率に放熱フィンが効果的。冷却不足は寸法誤差や表面不良の原因となり、生産性を大きく左右する。

配管を含む冷却系統全体の放熱効率が再評価

樹脂成型やダイカスト、ゴム成型など、あらゆる分野で使われる成型金型は、製品寸法精度や表面品質に直結する極めて重要な設備です。なかでも冷却工程は、金型内の温度を制御し、成型品の収縮、反り、離型性をコントロールする役割を担っています。近年、成型サイクルの短縮や歩留まり向上が求められる中で、金型内部だけでなく、配管を含む冷却系統全体の放熱効率が再評価されています。適切に冷やされない金型は、製品の寸法誤差や表面ムラ、クラックなどの原因となるため、冷却効率=生産性と考えるべき時代に入りつつあります。

ボトルネックは“金型周辺の配管”かもしれない

成型金型の冷却には、冷却水や温調油が流れる配管が必須ですが、これらの配管から十分に熱が逃がせていないことで、冷却効率が低下しているケースが多く見受けられます。特に、設備のコンパクト化やレイアウトの制約により、冷却ラインの配管が密集し、熱がこもって周囲の温度が上昇しやすい環境が増えています。また、配管内部での熱交換効率が不十分な場合、冷却水が金型から熱を奪いきれず、サイクル時間の延長や品質バラつきの原因にもなります。冷却装置やチラーの性能だけで対処しようとしても、“配管自体の熱設計”が不十分であれば、本来の冷却効果を発揮できないのです。

放熱効率を高める3つのフィン提案

この課題に対し、最上インクスでは3種類の放熱補助フィン製品を提案しています。
ひとつ目は、「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」。既存の冷却配管に工具不要で巻き付けるだけで放熱面積を拡大し、自然対流やファン併用によって周辺の熱を効率的に放散できます。金型の近傍に施工できるため、周囲温度の安定化と作業環境改善にも貢献します。
ふたつ目は、「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」。管内に設置することで、冷却水や油との接触面積を増やし、伝熱効率を向上。冷却速度の向上により、成型サイクルの短縮と冷却ユニットの省エネ運転が期待できます。
三つ目は、「その他 用途 各種フィン」。大型の金型周辺や加熱系統の配管に使用され、放熱と構造保護を両立。高温下でも安定した性能を維持し、熱負荷の高い現場に最適です。

現場での導入事例と得られた成果

あるプラスチック成型工場では、金型冷却ラインの配管に巻き付けフィンを導入したことで、配管表面温度が平均で20℃低下。冷却水の戻り温度も下がり、チラーの稼働時間が削減されて電力使用量が月間で約10%削減されました。また、内側フィンを導入した現場では、設定温度到達時間が早まり、サイクルタイムが15秒短縮されるという効果も確認されています。さらに、スタンダードフィンを加熱系統に導入したラインでは、周辺温度の上昇が抑えられ、作業者の安全性向上と断熱材の長寿命化が実現されました。これらはすべて、既存設備に対し後付けで行える改善策であり、投資対効果も高い評価を得ています。

金型冷却の未来は「配管熱設計」で決まる

成型現場の技術課題は年々複雑化していますが、放熱=生産性・品質・省エネを左右する要素であることは変わりません。従来は見過ごされがちだった冷却ラインの配管部分にも、“熱設計”という発想を持ち込むことで、金型の冷却効率は劇的に改善可能です。最上インクスの3種のフィン製品は、設計段階にも、現場の改修にも柔軟に対応でき、冷却装置に頼らない省エネ型の熱対策を実現します。これからの金型設計・設備改善には、「配管の熱をどう逃がすか」が新たな焦点になるでしょう。金型の精度を支えるのは、目に見えない熱設計の工夫なのです。

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