熱と戦うインフラ、データセンターにおける新たな課題
2025.12.08

熱のこもりや放熱ロスが“見えにくい弱点”として浮き彫りに
クラウド化・AI活用・IoTの拡大とともに、世界中でデータセンターの重要性が増しています。高速・大容量・常時稼働を前提とするこの分野では、数千台にも及ぶサーバラックが稼働し続け、同時に膨大な量の熱エネルギーが発生します。これを制御するため、冷却水や冷媒ガスが配管を通じて24時間循環しており、その熱の移動と放熱管理が、施設の省エネ性能や安定稼働を左右しています。近年のデータセンターでは空調制御や冷却装置の進化が進む一方、配管部における熱のこもりや放熱ロスが“見えにくい弱点”として浮き彫りになってきています。省エネルギーと信頼性の両立を図るには、配管単位での熱マネジメント強化が求められています。
配管の熱が冷却効率を落とす、見逃されがちなリスク
冷却水を送る配管は、機器室とチラー設備、ラック冷却ユニット、空調吹出口などを結び、常に一定の温度で冷却媒体を運ぶことが求められます。しかし、外気温や機器排熱の影響を受けて、配管の一部で過剰な放熱や熱だまりが生じると、冷媒の温度バランスが崩れ、冷却性能が低下します。これにより冷却装置の負荷が上がり、電力消費が増加、PUE(Power Usage Effectiveness)が悪化する原因になります。また、温度差が大きい状態が続くと、配管継手の劣化や結露によるトラブルが発生する可能性も。こうした課題に対し、パイプ・配管 外側巻き付けフィンやパイプ・配管・流路 内側挿入フィンといった放熱制御部材の活用が、有効な手段として注目されています。
スタンダードフォールディングフィンで放熱を最適化
最上インクスの「スタンダードフォールディングフィン」は、金属フィンを蛇腹状に成形して配管外周に巻き付けることで、放熱面積を拡大し、自然空冷でも高い熱拡散効果を発揮します。データセンターでは、特に機器裏の冷却水配管や、ファンコイルユニット周辺、ポンプ室の戻り配管などに熱がこもりやすく、局所的な温度上昇が冷却能力全体に影響を及ぼすことがあります。こうした箇所にフィンを装着することで、放熱をスムーズに行い、冷却ループ全体のバランスを改善できます。また、既設の配管にも後付け可能で、稼働を止めることなく施工ができるため、メンテナンス性や現場対応力の面でも高い評価を得ています。
省エネ・環境対策に貢献する配管単位の熱マネジメント
データセンター運営において、消費電力の半分近くが冷却に費やされると言われており、冷却効率の改善=電力使用量の削減は経済面・環境面双方にとって大きな課題です。配管フィンによって放熱性が改善されれば、チラーや空調装置の稼働負荷が軽減し、年間を通じて大幅な電力削減が可能になります。さらに、CO₂排出の抑制や機器寿命の延伸にもつながり、持続可能なデータセンター運営を後押しします。今や、PUEの改善は単なるコスト削減策ではなく、ESG対応やカーボンニュートラル施策の一環として評価される指標。配管放熱という一見地味な施策こそが、これらの達成を支える現実的な手段になり得ます。
デジタル社会を支える“静かな熱対策”が未来を変える
ITインフラの中核を担うデータセンターは、社会の「心臓」とも言える存在です。その安定性・効率性・環境対応を守るためには、派手な大型設備だけでなく、配管といった基礎部分の放熱設計にも目を向ける必要があります。最上インクスが提供するパイプ・配管 外側巻き付けフィン、パイプ・配管・流路 内側挿入フィン、スタンダードフォールディングフィンは、熱をコントロールし、冷却負荷を平準化することで、データセンターの総合的なエネルギー性能と持続可能性を支える実用的ソリューションです。未来のデジタル社会を支える静かな技術革新として、今こそ“配管の熱”に目を向けるべき時です。
