技術コラム
天然ガスの有効利用を妨げる“見えない熱ロス”の存在
2026.2.02

目次
天然ガス配管のサーマルマネジメント強化で見えないヒートロスを削減
再生可能エネルギーと並び、化石燃料の中でも比較的クリーンなエネルギー源として注目される天然ガス。発電、都市ガス供給、産業用燃料など、多岐にわたる用途でその利用が進んでいます。しかし、天然ガスの取扱いにおいて、配管内外での“熱のムダ”が存在していることはあまり注目されていません。特に、圧縮・減圧・加熱・冷却といった熱処理プロセスを経る際に、配管からの不要な放熱がエネルギーロスや設備負荷を増加させているのが実情です。この“見えない熱の損失”を抑えることは、天然ガスの有効活用と省エネ化に直結する課題です。
配管の熱管理が求められる理由
天然ガスプラントや供給設備では、高圧ガスの膨張・圧縮に伴う温度変化や、ガス加熱器を経由した温度制御など、配管内の熱流動がシステム全体の効率に大きく影響します。その際、配管の外壁から不要に放出される熱は、熱交換効率を下げたり、隣接機器の誤作動や保守環境の悪化を引き起こす原因となります。また、屋外配管では外気温との熱交換によって冷却・加熱双方でのロスが発生し、ヒーターや冷却装置の稼働時間・消費電力が増大する要因ともなります。これらの放熱課題をコントロールすることは、天然ガスの温度・圧力安定供給とエネルギー最適化において、極めて重要なテーマです。
フォールディングフィン技術による配管の放熱制御
こうした課題への対応策として、最上インクスが開発した3種の放熱制御フィン製品は、現場への後付け導入が容易で、高い熱性能改善効果を発揮します。
「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」
既設のガス配管へ工具不要で巻き付けることで、表面積を拡大し放熱性を強化。自然放熱や風冷の促進により、過熱防止や温度安定化に効果を発揮します。減圧弁付近や加熱後配管の放熱に最適です。
「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」
配管内の乱流を増加させ、熱伝導効率を向上させることで、加熱・冷却の両方での熱移動を促進。冷却水やヒートキャリアの流量を抑えながら、熱交換効率の向上が期待できます。
「スタンダードフォールディングフィン」
耐候性・耐腐食性に優れ、屋外長距離配管の外気影響による放熱制御に効果的。ガス供給ラインの通年温度管理に活用されています。
これらはいずれも設備停止不要で導入可能なため、稼働中のプラントや中継設備でも柔軟に対応できます。
導入事例に見る効果と省エネの可能性
天然ガス輸送施設において、スタンダードフィンを設置した長距離配管では、外気による熱損失を約30%抑制でき、冬季のヒーター稼働時間を25%削減した実績があります。また、巻き付けフィンを使用した加熱後配管では、放熱による温度低下を抑え、ヒーター側の再加熱回数を削減し、年間で10%以上の燃料削減につながったケースも報告されています。内側フィンの適用により、流体温度の均一化と配管出口温度の安定化を実現し、バルブや計測機器の寿命延長にも寄与した事例もあります。これらの成果は、目に見えるエネルギーコストの低減だけでなく、長期的な設備保全性や安全性の向上にもつながります。
天然ガスインフラの“熱設計”を見直す時代へ
再エネとの競争やカーボンニュートラルへの対応が求められる今、天然ガスインフラにも熱効率の最適化と省エネ設計が強く求められています。放熱制御はその中でも、比較的低コストで即効性のある改善ポイントであり、見過ごすべきではありません。最上インクスの各種フォールディングフィンは、配管単位での熱対策を実現する実用的なソリューションであり、プラント運用の高度化に貢献します。天然ガスという貴重なエネルギー資源を、無駄なく、効率よく届けるために―。今こそ、配管の“熱の流れ”を見直す第一歩が必要です。
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