技術コラム

ガス市場で見過ごされがちな「配管の熱」

2026.2.20

ガス供給設備を斜め俯瞰。加圧・減圧装置、配管ネットワーク全体の立体的な配置と奥行きを捉えた施設レイアウト。

ガス供給インフラの配管放熱設計見直しで省エネと保全性を両立

都市ガスや工業用ガスの供給インフラにおいては、安全性と安定供給が最優先される一方で、「熱の扱い」が設計や運用において軽視されがちです。ガスの加圧・減圧・気化・混合といった工程では熱の発生や吸収が避けられず、配管に蓄積された熱が設備の効率や寿命、安全性に影響を及ぼすケースも少なくありません。特に近年の高効率運転・小型化傾向により、放熱対策の重要性が再認識されつつあります。ガス設備の配管まわりでの放熱設計を見直すことは、省エネ化と保全性向上の両面で効果的です。

実際の課題:加圧・減圧ラインでの熱の滞留とその影響

ガス配管では、減圧時に発生するジュールトムソン効果による急冷や、加圧・圧縮時の発熱が必ず発生します。これらが適切に拡散・排熱されない場合、配管温度の異常上昇によって流体特性が変化し、バルブやセンサーの誤作動、供給精度の低下、保守頻度の増加につながるリスクがあります。また、密閉空間や屋外での長距離配管では自然放熱が困難な場面も多く、冷却装置を追加するにはスペース・コスト両面の制約が大きいのが実情です。これらの背景から、省スペースで設置可能な“後付け型”放熱機構が注目されています。

3種の放熱フィンによる対策:状況に応じた柔軟な適用

最上インクスが開発する3種のフィンは、それぞれ異なる放熱課題に対応可能です。
パイプ・配管 外側巻き付けフィン
既設配管に簡単に巻き付けられる構造で、放熱面積を拡張し自然対流を促進。ガス調整所や圧力レギュレーターまわりに設置することで、局所的な熱溜まりを効率的に放熱できます。工具不要で短時間施工が可能なため、運転停止を伴わず導入できる点が強みです。
パイプ・配管・流路 内側挿入フィン
配管の内部に挿入することで、流体と管内壁の熱伝達を強化。狭小空間や高圧ガスラインなど、外側施工が困難な配管にも対応できます。気化ガスの温度制御や、冷却水併用設備などに適しています。
スタンダードフォールディングフィン
風雨や腐食環境に強い耐候性・耐熱性素材を使用し、屋外・沿岸地域など過酷な現場にも対応。LNG基地やバイオガスプラントなどの大規模ガス設備に多く導入実績があります。

省エネと保守性の観点からの導入効果

ある都市ガス供給事業者では、減圧設備周辺の配管にフォールディングフィンを巻き付けたことで、配管表面温度が15〜20℃低下。それにより、センサー誤作動の減少、冷却ファンの稼働時間短縮、年間電力使用量8.6%の削減という成果が得られました。また、内側フィンを用いた気化ラインでは、加温効率が向上し、加熱バーナーの燃焼量が年間6%削減。スタンダードフィンの導入により、腐食による配管更新周期が延び、メンテナンスコストを年間で約30万円削減した事例も報告されています。これらはすべて、設備更新なしで実現できる省エネ策です。

ガス供給の未来を支える「配管からの最適化」

エネルギー業界におけるカーボンニュートラル推進の流れは、ガス市場においても例外ではありません。いかに効率よく、ロスなく、安定的にガスを供給するかという視点が求められるなかで、配管周辺の熱マネジメントは従来の「周辺要素」から「設計の中心要素」へと変わりつつあります。最上インクスの放熱フィン製品群は、現場の制約や環境条件に柔軟に対応し、省エネ・安全・長寿命運用の実現に貢献します。「配管から始まるエネルギー最適化」という視点を、次の設備設計・改修に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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