第17回:ヒートポンプにおける室外機の着霜問題
2022.7.19
元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)
今回は、ヒートポンプを車の暖房に使用した場合の着霜の問題についてお話します。
ヒートポンプでは、空気から熱を奪い、その奪った熱と、コンプレツサの圧縮エネルギーの合計が暖房熱源として使われると前のコラムでご説明しました。
外気が低い場合には、マイナス10℃以下の温度の冷媒が室外機の中を通り、その冷媒によって空気が冷却されるわけですから、空気は結露し、結露水は凍結します。時間とともに室外熱交換器の全面を塞ぐようになり、結果として風が通らなくなり、熱交換ができなくなります。要するに、ヒートポンプが機能しなくなるわけです。
家庭用エアコンも同様の問題がありますが、凍結を防ぐために間欠的に運転を逆サイクル、すなわちコンプレッサの高温冷媒を室外機に流すことで解消しています。
ところが車の場合は、ヒートポンプが走行中に曇り防止の役割も果たしていますから、途中でヒートポンプの暖房運転が停止しますと窓ガラスが曇ってしまい大変危険な状態になります。そのため、いろいろな対策が検討されています。
走行中も暖房除湿機能を働かせながら、霜を溶かす方法、霜の付きにくい熱交換器フィン構造、霜付きを防ぐ表面処理などがありますが、これぞという決め手になる方法が見つかっていません。
次のコラムでは霜の付きにくい表面処理の提案についてお話します。