技術コラム

サーバ冷却の盲点 ― データセンターの配管が抱える放熱課題

2026.1.29

データセンターの冷却水・冷媒ガス配管の放熱は空調負荷を増大させる課題。放熱フィンを使用すると効果的で、冷却効率向上と省エネ、稼働安定化に寄与。熱ロス低減にも有効。

配管断熱と放熱制御でエネルギーロスを削減

データセンターのエネルギー消費の約4〜5割が空調・冷却系統に集中していることは広く知られています。サーバやネットワーク機器の発熱量は年々増加しており、それに応じた冷却技術の高度化が進んでいます。しかしながら、その冷却媒体を支える「配管系統」自体の放熱課題は、十分に対策が講じられていないケースが多く見られます。冷却水や冷媒ガスを循環させる配管の表面から外部に逃げる熱は、機器冷却とは逆に空調負荷を増やす“逆効果”を生む場合もあり、冷却効率全体のロスに直結します。こうした放熱のコントロールは、冷却効率向上、省エネ、サーバ稼働安定化の鍵を握る要素なのです。

空調負荷とエネルギーロスを招く“見えない熱の漏れ”

データセンターでは、精密な温度管理が要求されるため、空調設計はゾーン別に緻密に構築されています。しかし、配管自体が室内外に放熱していると、空調制御の想定温度帯に乱れが生じ、エネルギー使用量が増加します。また、配管内で冷媒温度が不必要に上昇すれば、冷却能力の低下により冷却機器の負荷が上がり、電力消費も跳ね上がるという悪循環に陥ります。特にラック密度が高い次世代データセンターやコロケーション施設では、冷却媒体の流量や温度をいかに効率よく制御できるかがPUE(電力使用効率)向上の重要指標となります。つまり、配管部の放熱を「制御可能な要素」として捉えることが、これからの冷却戦略には不可欠なのです。

フィン技術で配管の放熱をコントロール ― 3製品による解決提案

最上インクスは、この放熱課題に対して、後付け可能で施工性と熱性能を両立した3タイプのフィン製品を提供しています。
パイプ・配管 外側巻き付けフィン
既存の配管に巻き付けるだけで表面積を大幅に増加させ、自然放熱や送風冷却による放熱を促進。局所的な熱だまりや熱拡散の不均一性を解消し、冷却ループの効率を改善します。空調機周辺やサーバ直近配管の温度制御に有効です。
パイプ・配管・流路 内側挿入フィン
配管内部に設置することで、冷媒や冷水との熱交換効率を高め、同じ流量でより多くの熱を移動できます。これにより、ポンプやチラーの稼働時間短縮、消費電力の低減を実現します。
スタンダードフォールディングフィン
高温・屋外環境に対応した仕様で、長距離にわたる冷却配管や屋外経路にも安定した放熱性能を提供。冬場の凍結防止や季節変動の温度調整にも効果的です。
これらの製品はすべて、既設設備への後付け施工が可能で、運転停止を最小限に抑えながら導入できることも、大規模データセンターにおけるメンテナンス性の観点から高く評価されています。

PUE改善とエネルギー最適化に寄与する具体効果

実際のデータセンターにおける導入事例では、巻き付けフィンにより配管表面温度が15〜20℃低下し、周辺空間の空調負荷が年間8%削減されました。さらに、内側フィンの活用により冷媒循環量を12%削減しながらも、熱移動性能を維持。スタンダードフィンを用いた屋外配管では、外気との温度差による熱損失を30%以上低減でき、冷却負荷の平準化にも寄与しています。こうした定量的成果は、PUEの改善、サステナブル運用、省エネレポート対応など、多方面での価値を生み出します。

データセンター冷却の新常識 ― 配管も“冷却対象”として設計せよ

高密度・高発熱が常態化する現代のデータセンターにおいては、冷却設計を「空調設備」や「液冷装置」だけに限定するのではなく、配管全体を熱設計の一部として捉える必要があります。最上インクスの各種フィン製品は、既設設備のまま冷却性能を底上げできる実用的ソリューションとして、データセンターのエネルギー最適化・運用安定化に貢献します。配管の放熱は“見えない課題”ではなく、積極的に制御すべき戦略的ポイントです。次世代の冷却設計は、配管から始まります。

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