技術コラム
社会インフラに潜む「見えない熱」の課題
2026.2.12

目次
社会インフラ配管のサーマルマネジメント強化で安定稼働と安全性を確保
電力、上下水道、ガス、通信などの社会インフラは、日本国内のあらゆる産業と暮らしを支える重要な基盤です。これらの設備の多くは、24時間365日稼働しており、その中で熱の制御や管理は安定稼働に欠かせない要素です。配管の中を流れる熱媒体、水、空気、ガスといった流体は、運転効率や耐久性、安全性に影響を与えるだけでなく、熱損失がそのままエネルギーロスや劣化、事故のリスクにも直結します。にもかかわらず、配管の放熱対策は後回しにされやすいのが現状です。
インフラ配管で起きている熱の問題とは
インフラ設備では、長距離かつ屋外・地下に渡る配管が数多く存在します。例えば、ガス調整設備の高温配管や、上水場の塩素供給ライン、通信局舎の冷却設備では、外気温との温度差による放熱ロスや、周囲機器への熱影響、保守員の火傷リスクなどが発生し得ます。さらに、地下や高所にある配管では放熱量のコントロールが困難なうえに、点検・改修の手間やコストもかかります。つまり、「熱が逃げる」だけでなく、「熱が残る」こともインフラ全体の寿命や省エネ性に悪影響を及ぼしているのです。
最上インクス製フィンの3種による課題解決策
こうした配管放熱の問題に対し、最上インクスでは「用途・現場環境・設置可否」に応じた3種の放熱フィンを提供しています。
「パイプ・配管 外側巻き付けフィン」
工具不要で既設配管に後付けでき、表面積を飛躍的に増加させることで自然空冷性能を強化。上下水処理場の加温ラインや、送電鉄塔下部の冷却ラインなど、空調のない屋外現場でも活用できます。
「パイプ・配管・流路 内側挿入フィン」
配管内に挿入し、流体との接触面積を増やすことで熱伝達率を向上。長距離熱媒体輸送配管や、バイオガスプラントの冷却ラインなど、外側施工が難しい配管への対応が可能です。
「スタンダードフォールディングフィン」
耐熱・耐腐食性に優れた高強度仕様で、屋外の過酷環境下でも長期安定使用が可能。主に高温蒸気ラインや、発電施設の排熱処理配管などに導入実績があります。
現場での実装効果と省エネの成果
ある地方自治体の水処理施設では、配管巻き付けフィンを導入した結果、加熱効率が向上し、ボイラー燃料消費を年間で約9%削減。また、内側フィンを用いた都市ガス整圧設備では、冷却ファンの稼働時間を抑制し、年間メンテナンス時間を30時間以上短縮できました。スタンダードフォールディングフィンの事例では、沿岸部の送電設備に設置された高温配管の表面温度が40℃以上低減し、保守員の作業環境改善と安全性向上に大きく寄与しています。
インフラ設計の新常識は「熱マネジメント」から
近年では、カーボンニュートラルの潮流を受けて、社会インフラの省エネ化・長寿命化が強く求められています。その中で、配管という見えにくいが常に熱を扱う重要パーツに注目が集まっています。最上インクスの各種フィンは、いずれも既存設備へ無理なく導入可能で、設備更新を伴わずに放熱性能を向上できるのが特長です。これからのインフラ整備・保守の現場では、「構造材の強度」や「材料の耐候性」に加え、「熱設計」が新たな基準となるでしょう。配管から始めるインフラの省エネ設計――その第一歩として、放熱フィン導入は有効なソリューションです。