第20回:パイプ・配管外側巻き付けフィン
2022.9.02
元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)
今回は、㈱最上インクスが開発した、フォールディングフィン(※1)について紹介させて頂きます。
※1 フォールディングフィン:薄板金属を折り曲げて作製された伝熱フィン。金属材料特有の高熱伝導性を有し、非常に軽量で、フレキシブルである。多品種対応可能な生産設備を開発した事で、フィンピッチ、フィン高さなどを自由に変更できるため、設備加工範囲内であれば、カスタマイズ形状であっても金型を作製せずに1個から製造が可能。
㈱最上インクスが開発したパイプ・配管外側巻き付けフィン(以下、OPFF)は、後付け可能でありながら、放熱面積を素管の約10~20倍に増大させることのできる威力を持つ。従来、フィン付き管は素管に溶接やロウ付け、または押し出し加工で作られるものが存在したが、これらは、曲げ加工が難しい事や、素管の材質がガラスや樹脂では成立しない。OPFFは素管の材質に関係なく、放熱性能を向上させることができ、その効果は、空冷の自然対流で20%~150%、強制対流ではさらに増加することが確認されている。
詳しくは、三重大学と最上インクスの共同研究報告(2022年4月 空気調和・冷凍連合講演会 巻き付け型薄板金属フィンと配管間の熱抵抗に関する研究)及び技術コラムを参照されたい。この報告では接触熱抵抗の影響を焦点にしているが、自然対流のように放熱の苦しい状況では接触がラフでも相当な放熱性能向上を期待することができる。
実用例として、ボイラーメーカーが紹介されているが、ほかに食品加工や産業機器、自動車の電子部品など各種放熱部の冷却や排熱利用に適用可能性がある。