薄板放熱フィンで配管・放熱管・金型・設備等の熱交換効率拡大

第6回:「成形加工技術」と熱交換器の高性能、小型/軽量化のご紹介

2022.1.18

元デンソー認定プロフェッショナル
夢双造研究所 大原敏夫
(㈱最上インクス 技術アドバイザー)

今回のコラムは『成形加工技術と熱交換器の高性能、小型/軽量化』についてお話させていただきます。

まずは熱交換器の製作工程を簡単にご説明します。熱交換器はアルミの薄板金属材料を材料メーカーから仕入れ、その後薄板金属材料を「ブレス加工」や「ロール加工」などの成形加工を施し、「フィン」や「チューブ」「プレート」「タンク」などの各部品を製作します。

その後各部品をアッセンブリーに組立て、一体の状態で「ロウ付け」し、「表面処理」「洗浄」「気密検査」「外観検査」を経て完成になり出荷されます。

新しい熱交換器を開発する際には、成形加工技術や製造ラインの進化も考慮に入れて進める必要があります。

開発時には、次の世代はどのような製品が顧客から求められそうかを議論し製品企画を行います。企画検討内容は、例えば「小型化で40%」「軽量化で30%」「コストで30%」の低減が必要などの開発目標をまずは立案します。

次に、どのようにしてその小型化と軽量化、低コスト化を達成するかを考えて議論します。内容的にはおおむね以下になります。

1)構想設計として、現行タイプを踏襲するのか?それとも別のタイプを一から構想開発するのか?
2)成形加工技術として、「フィンのルーバピッチを0.8mmから0.5mmに細かく出来ないか?」「フィン板厚を50ミクロンから40ミクロンに薄く出来ないか?」「チューブの厚さを1.5mmから1.2mmまで薄く出来ないか?」「板厚を200ミクロンから150ミクロンに出来ないか?」
3)熱交換器の構造変更やコスト低減への対応など製造ラインの技術的進化も必須です。他にも「チューブ薄肉化での耐食性向上」や「熱交換器全体での薄肉、微細、耐食性向上でのロウ付け方法」「新材料の開発」など本当に様々な技術進化が必要になります。

成形加工技術では上記2)などの技術進化が必須であり、その成否は高性能、小型/軽量化の実現に直結する重要技術になります。

上記のように新型熱交換器は、構想から量産に至るまでには3年~4年の歳月が必要となり、その間設計部隊と生産技術部隊や材料開発部隊など様々な部隊がコンカレントに活動することになります。また社内部隊だけではなく、材料開発には素材メーカーの協力も必要なので、こちらも研究会を作り新材料開発を並行して進めることになります。

これらの総合的な努力により熱交換器の高性能化及び、1/4~1/5の小型/軽量化が実現されてきました。

次回のコラムではアルミクラッド材の特殊性や、いかにして200ミクロンで耐食15年を持たせるかについてお話させていただきます。

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